こんにちは。Photoraitエンジニアのヒエイです。

Photoraitのアプリケーションでは言語にPHPを採用しています。

去年PHP8のメジャーアップデートがあり、PhotoraitでもPHP8にバージョンアップを行いました。

今回はバージョンアップへ向けてやったことと、リリース後のパフォーマンス結果を書きます。

目次

前提

開発初期

開発環境作成と検証

リリースとパフォーマンス計測

まとめ

前提

PHPバージョン: 7.2

フレームワーク:CodeIgniter 3系

開発初期

開発サーバーを立てる前に、dockerでのPHP8のimageを使ってアプリケーション検証を行いました。

検証した内容は以下の事。

  • 依存パッケージ検証
  • composerパッケージバージョンアップ
    • バージョン依存により利用パッケージ差し替えなど
  • PHP8にしたことによるエラー修正
  • パフォーマンス計測

エラー修正

8系にアップデートした事で発生したエラーや、テスト中に発見した既存バグ修正をただひたすら行いました。

  • noticeエラーがwarningになったり、undefinedエラーも多数発見され修正作業。
  • function内デフォルト引数
    • 関数の引数にデフォルト値を設置する際、必須引数が後にある場合は非推奨になります。古いコードに少しあり修正をおこないました。
<?php
   function test($a = [], $b) {} // 非推奨
   function test($a, $b) {}      // 変更
?>

PHP8非推奨リスト一覧より

  • implode構文エラー
// NG
implode($array, ', ');

// OK!
implode(', ', $array);
  • 数値と文字列判定
    • 数値と非数値文字列の比較判定が変わっています。
$condition = 0

// PHP7

$condition == '' // true

// PHP8

$condition == '' // false

 

他8系にあたる変更点です。

非推奨
https://www.php.net/manual/ja/migration80.deprecated.php

下位互換性のない変更点
https://www.php.net/manual/ja/migration80.incompatible.php

ローカル環境でパフォーマンス計測

opcacheと、PHP8新機能JITも有効にしレスポンス数値を確認しました。

opcache・jitの有効

zend_extension = opcache
opcache.enable = 1
opcache.enable_cli = 1
opcache.jit = tracing
opcache.jit_buffer_size = 128M

 

レスポンス数値集計はApache Benchを利用。

ab -n リクエスト数 -c 並列実行数 -l "https://local環境ドメイン.net/エンドポイント"

 

PHP7.2(キャッシュなし) PHP8.0.1(キャッシュなし) PHP8.0.1(opcache) PHP8.0.1(opcache・jit)
Time taken for tests[sec] 3.556 4.779 1.193 1.146
Requests per second[#/sec] 14.06 10.46 41.92 43.63
Time per request[ms] 711.156 955.827 238.552 229.222
Time per request[ms]
(across all concurrent requests)
71.116 95.583 23.855 22.922

上記は一部のページで行ったテスト結果です。

ローカル環境でのテストではありますが、opcacheとjitの効力ありパフォーマンス改善が見られました。

PHP7.2と8系のキャッシュ無しの場合は、若干PHP8が遅くなった印象。フレームワークやライブラリとの関連性もあるのでチューニング次第で変わりそうでした。

開発環境作成と検証

開発サーバーを立て、検証をスタートさせます。

サーバー立ち上げ時にPHP8のマイナーアップデートが随時リリースされ、採用バージョンも更新を行っていきました。

composerパッケージでも、バージョンアップ開発スタート時には8系に非対応だったものも随時アップデートがリリースされてゆくことも多かったです。

CodeigniterでのPHPunitジョイントツールのci-phpunit-testもその1つでした。

New Relic

Photoraitではサイトパフォーマンス監視にNew Relicを利用しています。

バージョンアップ対応途中、New RelicはまだPHP8対応されてない事が発覚。

開発陣で打ち合わせを重ね、New Relicを待たずバージョンアップリリースを先行しました。

PhotoraiチームはNew RelicのPHP8対応をとても心待ちにしております。

リリースとパフォーマンス計測

リリース後はSentryの監視を徹底。テストで発見できなかったエラーが幾つか上がりhotfixの修正対応を行いました。

落ち着いた後にパフォーマンス値集計。

opcache・jitの効力もあり、大幅なレスポンス数値の改善が見られました。

※内容は一部です

対象パス
PHP7と8の差分(ms)
改善%
/ -85 37.78%
/studio/.*$ -628 46.90%
/studio/.*/photo -317 39.82%
/studio/.*/plan -452 41.39%
/studio/.*/option -358 39.60%
/studio/.*/privilege -238 45.59%
/studio/.*/review$ -1208 72.73%
/studio/.*/review/.* -1298 70.62%
/studio/.*/kodawari/.* -323 47.99%
/studio/.*/experience$ -477 48.08%
/studio/.*/experience/.* -362 42.94%
/studio/.*/photographer/.* -547 58.19%
/studio/.*/dress$ -300 31.32%
/studio/.*/dress/.* -295 33.41%
/studio/.*/blog$ -432 54.00%
/studio/.*/blog/.* -646 55.88%
/search/area/.* -353 39.57%
/search/kodawari_search.* -239 34.99%
/search/kodawari_introduction/.* -180 30.35%
/search/plan/result.* -301 37.25%
/search/photographer.* -107 34.19%
/search/resort$ -147 31.96%
/search/resort\?.* -217 36.29%
/search/photo/result.* -267 27.84%

まとめ

チューニングが施しきれていない部分もまだありますが、PHP8にして早速効果が出てきて嬉しいです。

またエラーが厳格化された事により古いコードの修正には手を焼きましたが、これからの開発では助かる事も多いと思います。

ぜひ、新機能も使いながら開発を楽しんでゆきたいです。

 

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